人間が健康に生活していく上で欠かすことができないと言われる酵素ですが、体内で作られる酵素は加齢とともに減少していくだけでなく、生活習慣や体調によっても大きく変化します。
体内にいつも酵素が十分存在しているわけではないのです。
よって、私たちは足りない酵素を体外からの食物摂取によって補ってやる必要が出てきます。そこで注目なのが食べ物から摂取できる食物酵素。
そこで今回は体外摂取による食物酵素がいかに重要なのか、そのメリットについて説明していきましょう。
食物酵素の消化分解機能
消化酵素や代謝酵素のように体内で作られる酵素を体内酵素と呼ぶのに対して、食物から摂取する酵素を食物酵素と呼びます。
食物酵素には消化酵素と同様に食べ物を消化・分解する働きがあり、食物酵素を含む食べ物を摂取することで、体内の消費酵素の消費を大幅に和らげる効果を発揮します。
よって、一般的には食物酵素を含む食べ物を摂取すれば、これが消化酵素に代わって食べ物の消化・分解を行ってくれるというわけです。
酵素を多く含む食品って何がある?食物酵素を食べ物から摂取するしかし、この論法には少々異論を唱えなければなりません。
酵素は熱に弱く、40~70度の加熱で破壊されると言われています。よって、基本的に加熱を伴わない調理でないと、体内に食物酵素を取り込むことはできません。
しかも、食物酵素はほとんど体内に吸収されることはないので、生きたまま摂取したとしても、体内で消化酵素のような働きをしてくれるわけではないのです。
消化酵素とは違う食物酵素の消化方法
「それじゃあ、食物酵素を摂取する意味がないじゃないか!」ということになってきますよね。しかし、食物酵素には、摂取する前の段階であらかじめ消化を進める事前消化の働きがあります。
「事前消化?」
この説明だけでは理解できない方もいるでしょうから、一番わかりやすいバナナの熟成を例に説明していきましょう。
バナナは若ければ青く硬いのですが、時間が経過するにつれ、熟して柔らかくなっていきます。これを一般的には「熟れる」というのですが、実はこの現象こそがバナナの持つ酵素が消化を行っている現れなのです。
バナナは熟れている方が甘いですよね。
これはバナナの持つ炭水化物が酵素によって分解され、ブドウ糖や果糖に変化したからです。このように事前消化とは摂取する前の段階で、すでに消化・分解が完了している状態を指すのです。
事前消化によるメリットは?
それでは事前消化にはどんなメリットがあるのでしょう?
まずはそれを理解してもらうため、通常の消化経路を説明します。通常、摂取された食べ物は下記の順を追って、体内で消化吸収されます。
- 食べ物を摂取
- 食道を通過して胃に到達
- 胃からそのまま腸へ移動
- 胃腸にある消化酵素によって消化・分解しながら吸収
しかし、事前消化された食べ物の場合は下記のようになります。
- 食べ物を摂取
- 食道を通過して胃に到達
- 胃からそのまま腸へ移動
- 吸収
事前消化された食べ物はそれ以上、消化・分解する必要がないので、胃腸にある消化酵素を利用せず、体内に吸収できます。
よって、体内では消化酵素を作る量が少なく抑えられ、その分、代謝酵素が多く作り出されることになります。
代謝酵素には下記のように体を健康に維持する重要な働きがあるので、食物酵素を摂取し、代謝酵素の量を増やしてやれば若々しく健康な体を維持することが可能です。
・摂取物の毒素を解毒し、汗や尿として体外に排泄
・免疫力を高めて外敵から身を守る
・ダメージを受けた細胞の修復や再生(各器官や肌、血管など)
以上が食物酵素を摂取することによって得ることのできるメリットです。
食物酵素を摂取してやることで、加齢とともに減少する体内酵素を補ってやることができ、尚且つ、元気の元となる代謝酵素を作る量が増えて、いつまでも若々しく健康で過ごしていけるというわけですね。